その全てを抱きしめるよ

140字におさまらない色々

第一章

気づけば道枝駿佑というアイドルに出会ってから4度目の冬が来ようとしている。

 

なぜこんなことに?という気持ちと、でも出会った瞬間からこうなるような気もしていたという気持ちが半々くらい。30代のアイドルを応援していた人間が急転直下、まさか自分よりも年下のアイドルを応援することになるとは、5年前の私に言っても信じてもらえないだろうな。正直、私なんかがダラダラと語っていいものだろうか‥と思ったりしたけど、何年後かに自分が読み返したら面白いかなと思い今の気持ちを残しておく。

 

忘れもしない、私が宝物のようなアイドルに出会った瞬間は桜が葉桜に変わり切った頃の春だった。

その日、父がつけていた「母になる」というドラマを何となく一緒に観ていた。第一話終盤、少し虚な表情で現れたその男の子を見た瞬間雷のような衝撃を受けた。「何、この子‥?!」肌は透けるように白く、瞳は純粋という言葉がそのまま具現化したようで、今にも消えてしまいそうな男の子がそこにいた。それが道枝駿佑くんだった。確か、関西のJr.の子が出るとニュースで言っていた気がするから、なんとなく知っていたけど、それがこの子だったのか!点と点が線につながった瞬間だった。

そこからは「コウくんかわいい」「早くコウくんが観たい」「コウくん‥‥」とうわ言のように呟く日々。友人には「年下に狂ってるの初めて見た」と言われた。「いや、違う、これは狂ってるっていうかコウくんが好きなだけで‥‥。」←とかなんとか言いながらもしっかり調べていた。めちゃくちゃ調べた。そしてここで長尾謙杜くんと高橋恭平くんの存在を知りました。ジャニーズ、こんな顔綺麗な子たちをまだ隠し持っていたのか‥‥って思ったのめちゃくちゃ覚えてる。それでもこの頃は「いやいや、私が好きなのは道枝駿佑くんではなくて、コウくんだし‥」と思っていた。

汗がじんわりと流れる夏、私は僕らの勇気未満都市の特番をしっかりリアタイしていた。「道枝くん、何か大きくなってる‥!これがJr.の成長の速さ!」と驚いた。そしてその間にまいジャニを観ることを覚え、ドル誌を5億年ぶりに買うことなどをしていた。親に「30代のアイドルばっかり見ていたのに急に14歳のアイドルについて調べている」という事実を知られるのが妙に恥ずかしくてエロ本を隠す中学生みたいなムーブをよくしていた。この辺りまでは「妙にこの男の子を気に入ってるな」くらいに思われていたと思う。私もそう思っていました‥‥。

すこし涼しげな空に変わった夏の終わり、少年倶楽部in大阪に初めてしっかりと触れた。ハピラキを踊る信号トリオを見て「いつかこの子たちを生で見てみたいな‥」と思うようになる。なるけどまだジャニーズJr.を応援するということへの一歩が踏み出せなかった。もしかしたらいなくなるかもしれない存在に肩入れすることがとても怖かった。いつかいなくなったその時に悲しみを味わうのは辛い。でもこの頃には、ジャニショで写真を買うことや、松竹座のグッズを代行してもらうことなどはしており、ただ現場に行かないと決めているけどしっかり追っている元気な茶の間オタクになっていた。(これって茶の間なのか?)

そんなこんなしてるうちに2017年のクリパが始まる。その年のクリパで道枝くんは次世代組と呼ばれる日程に参加をすることを知った。初めて知ることばかりで勉強勉強の日々だった。でも分かっていた。"多分実際に目にしたら戻れなくなる"ということ。いつか辞めてしまうかもしれないアイドルを応援することが怖かった。デビューしていようが何が起こるか分からないことは確かだけど、とりわけジャニーズJr.については踏み入れたことがない領域ということもあって極めて存在が儚く脆いように感じていた。この目で見てみたいな、でもな、を毎日繰り返す。

でも気づけば私は松竹座に足を踏み入れていた。道枝くんを見てみたいという感情が勝っていた。3階席なのにドームのスタンドより近い距離に意味がわからずしばらく脳内停止。隣の方も初めての松竹座ということで親近感が湧き、少しお話しして気持ちが和らいだ。幕が上がって道枝くんが見えた瞬間、瞬間的に「あ、私は道枝担になる。」と思った。テレビで見た瞬間の衝撃と同様に、制服を模した衣装で登場した眩い光を纏った道枝くんから目が離せなくなった。この輝きをできれば1秒も逃さず見ていたい。「いなくなってしまったら、」とかどうでもいいことを考えている暇なんてない、というかいなくなるわけない、こんなにも輝いているんだから。

心のどこかでストッパーになっていた「Jr担になるということ」を受け入れたら、本当に楽しかった。認めてないだけで全然それ以前もJr担相当の動きはしていたのかもしれない。でも、あの日松竹座に行ったことで自分の中の気持ちが全く違うものになったのは間違いない。Jr.担って面白いな。それでも、ジャニーズの音楽とともに青春を過ごした私は「いつか道枝くんの歌声がイヤホンから聞こえるような日々が来たらいいな」と思わない日はなかった。

SUPER ROCKETを5人で歌っている姿を見て、涙が溢れた日もよく覚えている。道枝くんの声で、こんなにも長いパートのオリ曲ができたんだなと。帰り道に見た流れ星も、これからの未来が明るいことを意味しているようで。←なんか運命的じゃない?!って思って何度も繰り返しこの話してしまう。 

知らせはいつも突然で、なにわ男子の結成を知ったのは雑誌の早売りからだった。初めは「雑誌の企画か〜?」と思っていたけど、どうもそんな空気ではなかった。Jr.担自体が初めてなのだから、Jr.のユニット結成に立ち会うのもまた初めてだった。トリオは歴も年齢も何もかもが違う人たちと一緒になり、また言われもない言葉をかけられるのではないかという不安が一瞬過ったが、それよりも、それ以上の言葉が沢山投げられた。ナイフみたいに鋭いそれを思い出すことはあまりしたくないが、何よりもユニットの結成を喜んではいけない雰囲気、多分ずっと忘れないと思う。友達に「よかったね」と言ってもらえたことでようやく「喜んでいいんだ」という意識に持っていけた。

Jrのユニットに初めて入った道枝くんは、「どうしたらいいのかわからない」状態だった、と感じた。関西ジャニーズJr.という団体の延長線上に立っただけと言われればそれだけのような気もするし、でもユニットであるからそうでないかは目に見えて違った。仕事量も、待遇も様々に。グループの歯車が噛み合っていないながらに無理矢理に動く姿は少しヒヤヒヤしたりもした。馴染めていなかったと語られていたその期間は、雑誌を開くたびにちょっとだけ不安で、「道枝くんはどれだけ喋っているかな」と本文を読む前にその名前を探すこともしばしばあった。

後に8.8から意識が変わったと言っている道枝くんだけど、たしかにそれ以前と以後では分かりやすくこちらにも目に見えて変化があった。それは、メンバーで過ごす時間が2019年の夏から冬にかけて多かったからなのかな。「メンバーみんなでUSJに行きたい」と道枝くんの口から出たという事実が嬉しくて、そのコンサートレポを何度も眺めた。少しずつ、少しずつ、道枝くんの重たい扉が開いているように思えた。チャンスを与えられる度に扉が分厚く分厚くなってしまっていた道枝くんを、焦らずゆっくり寄り添ってくれた優しいなにわ男子のみんながとても素敵だなと思った。

兎にも角にも分かりやすく、少し不器用な人なので誤解を招くことも少なくはないけれど、その分言葉に詰まっているものは本当のことばかりなところが道枝くんの良いところ。ステイホームが明けた後にメンバーに会えることを喜んだり、段々と素直でかわいらしい部分が見えるようになってきた。それはなにわ男子ではないと見れなかったと思う。プレッシャーに押しつぶされそうになりタクシーの中で泣いたこと、メンバーに会える日の前日はワクワクしていたこと、素直な道枝くんをありのままで居させてくれる場所がグループにあったこと、本当に良かった。

デビュー発表の日、ゲームコーナーのテーマを見るまではソワソワも何もしていなかった。少し悲しいことに期待して落とされることを何度か経験してしまい、期待ができなくなっていた。でも、少し様子のおかしいテーマに途端に仕事どころではなくなかった。何度も更衣室に戻ってスマホを確認した。何度目かの確認で、ロック画面にありえないくらいのメッセージが入っていることで足が震えた。慌ててトイレへ行く(社会人としてはダメ)。

 

「なにわ男子デビューだよ!!」

 

流水音の中突然かかってきた友達の電話に泣きながら答えたのは一生忘れないと思う。滑稽スタイルすぎて‥‥。

思えば、何度も期待しては落とされていたような気がするけれど、結果論としては、このタイミングしかないように思える。7人が同じ方向を向いての発表だったからこそ、7人で肩を組んで喜べたのだと思う。そう思うと、全てが運命なのだなと。

「なにわ男子を忘れるときがある。」と答えていた時もあった彼が、「なにわ男子のために」と個人の仕事をするようになれたこと、本当に嬉しい。

なにわ男子が好きだからこそ、20年、25年、30年と一緒にいるためにも「デビュー」の文字が欲しかった彼が、デビューという文字を見て「なにわ男子でよかった」と改めて思えたことが本当に嬉しい。

 

 

アイドルは永久的なものではないことを知っているし、アイドルは人間だし、今日思っていることが明日には違う考えになってることだって普通にある。だからもう「ずっと、永遠に」なんて思えないけれど。7人で綺麗なゴールテープを切るその日を信じたいと思えてしまう。この7人だからそう思える。

最初に見た時は「こことこことここくっつけます?」みたいな驚きがあったグループが、今じゃ「NO NANIWA NO LIFE」になっているので人生何があるかわからないね。今は「なにわ男子」というジャケットが体に馴染みつつあるくらいな7人が、これからどんな風に色つけて、着こなしていくのか楽しみで仕方がない。

 

もっと長く応援してる方もいると思うから、4年なんて‥とも思うけど、4年の間数え切れないくらい道枝くんに支えられて生きていた。この4年の間に、一度も目移りすることなく好きになった時の"熱いAll my love"のままここまで来れたことにちょっとびっくりしている。それもこれも、道枝くんがアイドルを楽しんでくれていたからだと思う。楽しそうにアイドルをする道枝くんが大好きです。

たった4年ぽっちだけど、心が折れそうになったこともあった。大好きなアイドルがいなくなるという喪失感や悲しみが分かる分、それに向き合うかもしれないということがやっぱり怖かった。ずっとこのままだったらいつか‥‥。そんな気持ちが過ったことも何回かあった。それでも、道枝くんの今を1秒も見逃したくなかった。

大阪に行かないと会えないアイドルを好きになったことも、松竹座の椅子があんなにふかふかだったことも、三が日の早朝からグッズ列に並んで「私何してんだ‥?」って気持ちになるのも、数秒映る音楽番組に喜ぶことも、ユニットの結成に立ち会えたことも、先輩との別れも、新しい挑戦に声を枯らしながら望んだことも、大好きなメンバーとデビューするその日を迎える姿を見ることも。

全部全部、道枝くんが初めてで。そして最後だと思う。

あの時ドラマを見ていなければ、多分こんなにも好きになっていなかった。きっと、先でも後でもなく、あの瞬間の衝撃が今日ここまで連れてきてくれたのだとすら思える。

 

あの日、あなたを見つけてよかった。

道枝駿佑くん、なにわ男子の皆さん、デビューおめでとうございます。

どうか、7人の行く先が煌めく毎日でありますように。

 

 

最初で最後のJr.担、最高に楽しかった!